女将の「豆まめ通信」

昭和47年5月号

 1972年5月 味噌通信 「時代変われど 変らぬものもある」の巻  ジャワ島のジャングルで第二次世界大戦の日本人の戦士が戦後4半世紀近くたって発見された驚くべきニュースがあった頃です。  その帰還兵横田氏の味噌汁への思いは心底懐かしいふるさとの味だったようです。   また欧米人の食生活と消化器を日本人の消化器と比較して、さらに旬の食材とも絡めて話を展開しています。 
石楠花
 この時代からさらに4半世紀が経った今、私たちの胃腸は、欧米人並みに縮んでいるのでしょうか? 当時よりもっともっと雑食(食文化的に)に変化している(楽しんでいる)日本人ですね^^  《写真は、庭の石楠花、今が満開です。》   

◆1972年5月号「味噌通信」

《本文》  深みどり 大地せましと生えしげり       自然に伸びる 豊かぞ知る 太陽の自然の恵みを受けて、緑一入濃く、浩然こうぜんの気漂う快適の季節を迎え、お健やかな毎日をお過ごしのことと存じ上げます。何時もご芳情頂き本当に有難う御座います。 三十一年振りに我が家に帰られた横井正一さんも、久方振りになごやかな家庭生活を 『朝ご飯も東京よりずっとおいしい「名古屋の味」赤だしのみそ汁の味は又格別だ』との話、 近頃食の多様化が取沙汰されている中に、日本人にとってはご飯とみそ汁が車の両輪の如く、みそ汁の味をたたえてから、おもむろにご飯をとる風習は今も尚守られ、自然に胃の蠕動(胃に入った食べものが下へ送る運動)を助け、消化に一役買っていることが有難い極みである。とりわけ日本人の体質は草食、粒食に適したように形作られ、腸も三割余 外国人より長く、それだけ消化に手間どり、濃厚食ほど腸に負担をかけることになる。 その点西洋料理はスープ、魚、野菜、肉それに甘いデザート果物の順に運ばれ、胃腸の負担をかけないように出来ている。食べ物は食べた順序に胃袋に、各層毎に積まれ、胃腸がゼンドウしやすいように、濃厚なものが上積みされ消化しやすい果物を最後に典型的な食事である。殊に食事は一家団らんの中に、ゆっくり頂くもので、昔より百回噛んで飲むことさえ言われ、米国健康提唱者であるフレッチャー氏は食べ物はよく噛んで食べることにより神経痛、リュウマチ、肥り過ぎ等は治るとさえ立証されている。    (文献は柳沢正一著「長生きと食物」に依る) 今や山野菜は春の香りを受けて或者は頭を下げ、或者は手を合せて、自然の恵みを味わって貰いたと、笑顔で待ちわびている。見る緑の美しさも結構なれど心と体で思い存分山野菜緑の幸を我がものとして生のまま味噌をつけて新鮮な味をたたえてもよし、数多い山野菜を味噌汁の香の物として季節感を味わい、和え物として自然の豊さを思い出し、明日への健康のために、春の美色を満喫して頂きたい。
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