女将の「豆まめ通信」

昭和46年1月号

 1971年1月 味噌通信   新しい年の味噌通信は、心なしか心引き締まった文字で書いている気がします。印刷を終えたあとに、見つけた脱字が万年筆で書き添えられています。おおよそ40年前の「味噌通信」ですが、日本人の繊細な味覚(現代の日本人はちょっと変化しているように思いますが・・)について、漸くこの頃に「味と香り」と研究者が言い出していたようです。
雪の庭から
 化学調味料の単一化したものをうまく複合したり、微妙なバランス感覚は、その国の文化・気候・生活様式等々によって、微妙に異なってきます。  食事にかける金額の実際を見てみると、日本家庭が余裕だったのか、他に楽しみがなかったのか、食へのウエイトが大きいのか・・・・、想像してみるだけでも楽しくなります。2010年は、他国と比較してこんなに群を抜いているでしょうか? 

◆1971年1月号「味噌通信」

《本文》      かくしつつとにもかくにもながらへて         君がやちよにあふよしもがな     僧正遍正  越後にも珍しく初日の出る拝み瑞気溢れる新春を寿ぎ本年も幸であります様にと祈念てお喜び申し上げます。  食品も世の中の進むにつれ、味が退化すると申され方もありますが、 お正月ほどふるさとの味を慕い、尽きない味を満喫して家庭団らんする月はないと思います。昔と変わりませぬお餅、それに、郷土に因んだ雑煮の具、何れもがふるさとの味、おふくろの味を思い出すのではないでしょうか。 しかしこの数年国民所得が急激な上昇を見せ極めてぜいたくになって高価な食品に何等の抵抗を感じなくなったと食品研究家の岩重先生が申されています。 東京: 34.6ドル モスクワ: 28.8ドル ニューヨーク: 26.5ドル パリー: 24.0ドル ローマ: 24.0ドル ロンドン: 22.5ドル 日本人の食費についての調査が上記の様になっておりますが、列国に比べ極めて高水準を示し、食の洋風化も伴ってか、今更ながら驚いております。然し調味の社会も逐時化学調味も付け味的のものより天然的に熟成された味噌醤油の嗜好品が殖え、岩重先生も 「返り咲いた日本の味」 と申され『味プラスかおり』 と味だけに満足せず においと味のハーモニを求め初め、味とにおいの調和された風味こそ調味料の具備すべき用件であることが漸く現代日本人の食生活にははいつてきたと申され、古き流行と言っても過言ではありましん。  日本醸造公論の矢野社長は味噌界も品質の競争だ消費者は上手い味噌を求めている。時をかけ、金をかけじっくりと熟成本物の味噌こそ今年の勝負だと申されています。 幸い当社は既に一ヵ年分地場新米を確保し昨年末に於いて、天然醸造の設備も了え、本年こそ豊かな暮らしにマッチした健康への味であり、自然の味であり、なつかしの味である熟成した味噌の生産に誓いも新たに真剣に取り組んで行きたい所存で御座います。何卒ご愛顧のほどお願い申し上げます。
●味噌の味 川村 渉 様       お袋の味と言って幾世代かの母から娘に受け継がれてきた日本の味 お味噌汁功績を称えましょう
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