三代目 久一の「味噌通信」

昭和49年5月号

  1974年5月 味噌通信 「季節の中に後味を思う」の巻 そろそろ藤の花が見られる季節となりました。 山菜が冬の単調な食材からの脱皮のワンステップだったのでしょうか。  また、純度の高すぎる高い調味料(塩、砂糖)の単調な味を熟成・発酵がもたらす複雑な味の代表として味噌をたとえにして「コク」「後味」いう言葉で提言をしています。  季節感と後味の妙味をわかるような舌の持ち主でいたいものです。
丁字葛
 どっちらかというと、味つけの濃いものに押ししさを感じてしまう・・・中味に飛びつきやすい。  山菜や和食の奥義こそ後味なのでしょうね。 2009.05.27

◆1974年5月号「味噌通信」

《本文》       むらさきの花に、白花入りまじり                  わが庭隅の柵の藤波      鈴木幸一  目に若葉、山ホトトギスの緑春を迎え、鯉のぼり 大空にひるがえり、のどかなる季節となりました。    長い冬眠の草木も、一斉に自然の恵みを受けて、処狭しと生え 茂り、季節はづれの野菜に馴れた食生活にも、待望の季節の 旬しゅんを心ゆくまで、本当に味わい得る好古の季節。旬とは自然のもの、 味と言い、香りと言い、目もさめるような自然の緑り、将に、春ならではの 感じです。更に澄み渡る大空のもとに、家族揃って、わらび、ぜんまい、うど、 たけのこ、木の芽とり等、走り廻り、自慢の手料理をくりひろげての春の行楽、 筆舌に言い表し得ない風情です。  このところ昔ながらに食べ伝えられている、野菜の研究は盛りで、 この道の研究家、甘粕幸子さんは、ヨメナ(菜飯)、ノビル(ふくませ煮)、 ツクシ(御飯)、タンポポ(サンドイッチ)、クコ(油揚)、カンゾウ(酢みそあえ)、 ヨモギ(草餅)、アカザ(おひたし)等、野草の数々に就いて自然の香味を そのまま活かし、素材に合った料理の仕方を発表され、身近かに食べられる野草の 余りに多いのに、今更ながら驚いております。 新大の武助教授は、近頃砂糖や、食塩は余りにも純度は高いため、味は単調過ぎて、 味以外のうま味は失われ、多少の不純物のあった方が、味の調和に立派な役割が あったと、申されています。若い味噌はしまりがあっても、丸味はなく熟成させると コクがつき、まろやかで奥行きのある味(後味)になり、俗に枯れた味と言われ、 特に旬を味わうとき後味のよさが、一層素材の香味を、役立つと言われています。
 ● 後味 修養団婦人部長 遠藤俊夫先生    食べものは  食べてしまへば 形がなくなる    だが舌には味は残る   それが後味    後味のよしあしが   料理のよしあしをきめる    だからこわいのだ    食べる前の食欲をそそる  前味も大事    食べておいしいとおもう 中味も大事    だが一番なのは後味    後味のわかる人だけが    後味を大切にする
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